波多康治会計事務所

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Koji Hata Accounting Office

土地の交換と建物の売買 2015.11.01

現在、貸地があり借り主から地代をもらっています。借地人は近くに自己所有の土地と建物があり、そこには借地人の子供が住んでいます。貸地の借り主との間で土地を交換する話が出ています。土地の路線価額はかなり違っていますが、土地はお互いが合意の上無償で交換します。また、借地人所有の土地にある建物は売買で借地人から当方がほぼ家屋の固定資産税評価額で買い取ります。なお、建物自体の固定資産税評価額は相当低くなっています。以上で、税務上何か問題になる点がありませんか。
借地人が親族関係等ではない第三者(他人)であれば、仮に固定資産税評価額ないし時価相当額に差があっても、交換をするに至った事情等に照らし合理的であるときは、両者が合意の上で等価で交換したと、税務上も見なします(所得税基本通達58-12)。
所得税法第58条に「交換の特例」というのがあり、この特例がある場合は、交換による譲渡所得は発生しないものとされます。仮に交換する資産の時価に差があるなどの理由で、一部金銭等で精算した場合でも、その精算額(交換差金といいます)が高い方の資産の時価の20%を超えなければ、この特例の適用があります。もっとも、交換差金を受け取った場合には、その分については、譲渡所得の計算が必要になります。
所得税法第58条にこの特例を受けるための要件があげられています。(1)交換により譲渡する資産および取得する資産は、いずれも固定資産であること。つまり不動産業者がいわば商品として所有している土地や建物は対象外です。(2)交換により譲渡する資産および取得する資産は、いずれも土地と土地、建物は建物のように互いに同じ種類であること(3)交換により譲渡する資産は、一年以上所有していたものであこと(4)交換により取得する資産は、交換の相手方が一年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと(5)交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。たとえば、土地なら地目が同じ宅地である必要があります。
建物の売買金額については、取得時の取得費ないし再調達価額から非事業用の減価償却費相当額を差し引いた金額したらどうでしょうか。一般的に、建物については、年数が経っていれば、固定資産税評価額のほぼ同じぐらいの金額になります。
ただ、本件のような場合、税務上は、土地の交換と建物の売買を一体として交換特例の適否が判断されてしまいますので、注意が必要です。建物の売買金額と土地の時価相当額の差額を合わせて交換差金とみなされるわけです。慎重な検討が必要です。