波多康治会計事務所

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Koji Hata Accounting Office

非上場株式の相続に係る納税猶予制度 2016.01.01

当社は、食品製造業ですが、資本金の金額に比べて純資産の金額が大きく、筆頭株主で代表者である私の相続があった場合、相続財産に非上場株式として大きな金額が加算され、大変な相続税を支払わなくてはならないようです。何か相続税対策としてできることがないでしょうか
上場していない会社の株式の相続税税法上の評価は、所有している株式の割合や会社の規模などの要素で決まりがあります。少数株主の場合は、配当還元方式という方法になりますが、それ以外は、会社の規模などに応じ、類似業種の上場会社の株式評価額に対比した類似業種比準方式という方法と貸借対照表をもとにした純資産価額方式を用いて算定します。
非上場株式については、事業承継を支援する意味から、納税猶予制度があります。一定の要件を満たせば、本来納付すべき贈与税ないし相続税の一定部分の納税を猶予する制度です。相続の場合、四つの分野について、要件を満たす必要があります。通常のケースですと、まず、会社の代表者であったものの株式であること、会社は上場していない中小法人で、資産管理会社でないこと、株式を相続するのが会社の後継者(代表者)であること、相続から少なくとも、5年間は、後継者は相続した株式を保有し、従業員を雇用して、事業を継続することが必要です。この制度は、雇用の確保も目的としているため、5年間の平均で相続開始時点の8割以上の雇用が要件の一つになっています。5年経過すれば、株式の保有だけが条件です。納税猶予期間中、5年間は毎年、5年経過後は3年ごとに、納税猶予の継続届出書を税務署に出すことも必要です。

ところで、この制度を使うとどのくらい相続税が猶予されるかです。仮に、非上場株式が1億5千万円、その他の財産が1億5千万円、相続人が配偶者と子供2人場合の3名とし、相続人の一人(子供)が後継者となり、非上場株式の全額とその他の財産の内5千万円を他の相続人がその他の財産を各々5千万円相続したとします。相続税の総額は、約4千7百66万円になります。配偶者は、配偶者の税額軽減により19万円、後継者の子供の分は3千8百32万円、他の子供が9百15万円です。計算過程は省略しますが、後継者の子供が相続する非上場株式について納税猶予の制度を使うと、約2千万121万円が納税猶予となります。