役員退職金の支給
2021.12.01
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非常勤の取締役甲と監査役乙が退任し、役員退職金を支給します。取締役甲はオーストラリア在住で非居住者です。また、監査役乙は今年別の会社からも退職金を受け取っています。甲と乙に対する退職金支給に際し、注意すべき点がありますか。
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非居住者甲に対する退職金については、一律20.42%の源泉徴収が必要です。日本とオーストラリアの租税条約15において役員に対する報酬等について各国の国内源泉所得として扱う取決めになっています。20.42%は、 会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しいない場合の税率です。退職所得の源泉徴収票では、区分の三番目の欄に記入します。乙には、「退職所得の受給に関する申告書」のAとB欄に勤続年数を記載してもらいます。勤続年数の重複はできないためです。退職所得の源泉徴収票・特別徴収票では、区分の二番目の欄に記入します。
なお、非居住者の退職金については、確定申告により居住者と同様に退職所得控除額や課税退職所得金額に対する所得税率を適用することを選択できます。国籍は関係ないので、本件の甲も確定申告で源泉所得税の還付を受けることが可能です。