社会福祉法人の収益事業
2024.11.01
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社会福祉法人が新たに収益事業を開始した場合の税務上の取扱について教えて下さい。
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社会福祉法人は、社会福祉事業の他、公益事業や収益事業を行うことが可能です。新たに収益事業を開始するとのことですので、定款を変更して収益事業に関する条項を加えることを前提に説明をします。
公益法人等が法人税法施行令に限定列挙されている34業種のいずれかの事業を継続的にする場合には、原則として、収益事業について法人税等の申告が必要になります。収益事業を開始した場合には、2ヶ月以内に税務署等に収益事業開始の届出書を提出します。青色申告書の承認の申請も同時に行いましょう。また、決算確定は、決算理事会の後に開催される評議員会の承認が必要です。評議員会が決算日後2ヶ月を超える場合には、申告期限の延長の届出書も提出する必要があります。
公益法人等の法人税の申告について特有の制度としてみなし寄付金制度があります。社会福祉法人の場合、収益事業から生じた所得の2分の1か200万円のいずれか多い方の金額まで収益事業の所得から寄付金として控除きます。ただし、年度内に実際に収益事業から社会福祉事業に資金移動する必要がありますので、この点注意が必要です。収益事業の所得の90%以上を社会福祉事業に繰り入れている場合は、法人住民税はかからないと考えていいので(地方税法施行令第7条の4)、年度末には収益事業の所得の全額を社会福祉事業に移しておくと良いでしょう。